国民投票、戦闘機の騒音反対と法人税改正案
2月24日の国民投票では、戦闘機の騒音に反対するイニシアチブと、政府提案の法人税改正案に対するレファレンダムの是非が問われた。
戦闘機の騒音に反対するイニシアチブは、全州一致の反対68.1%で否決されたが、法人税改正案は賛成僅か50.5%で可決された。投票率は38.2%だった。
戦闘機の騒音反対、全州一致で否決
現在スイスではヴァレー州シオン (Sion) 、ベルン州のマイリンゲン ( Meiringen ) 、ヴォー州のパイエルヌ ( Payerne ) の3カ所に軍の戦闘機離着陸の飛行場がある。土曜日、日曜日と夜17時以降は訓練飛行が行われないが、それ以外は毎日、夏のバカンス時も飛行が行われている。
住民の心痛は大きく観光客も減るというので、環境保護者ハンツ・ウエベール氏を中心に提出された「観光地における戦闘機の騒音に反対するイニシアチブ」は、しかし1州も賛成することなく、スイス全州一致の68.1%で否決された。
ただ訓練飛行場周辺の市町村は、シオン市の55%を始め、52%から71%でイニシアチブに賛成。
「当地でイニシアチブが可決されたことは、戦闘機の騒音を減らすよう軍と交渉を続けることを住民が求めている証拠だ」
と、マイリンゲン市長スザンヌ・ヒュベール氏は語った。
政府側は、戦闘機の訓練は国の安全対策、特にダボス会議や「EURO2008」 などの時に欠くことのできないものである。また週末の訓練停止や、夜間の例外的飛行も22時以降は禁止するなど、今まですでにかなりの対策を行ってきたと主張してきた。
法人税改正案、50.5%で可決
国民投票の第2項目は、中小企業を優遇する、減税を目的にした法人税改正案の是非を問うもの。政府は国際経済の中でのスイス経済活性化を促進するためこの改正案を進めてきた。
しかし社会民主党(SP/PS )は、これは国民の1%にも満たない少数派が優遇される不公平な改正案であり、また税収入の減収や老齢年の減収などが起こるとして反対し、レファレンダムを起こして国民投票にかけた。
結果は、ヌーシャテル州の58.3%をトップに、バーゼル・シュタット州、ヴォー州など8つの州が改正案に反対したため、トータルで僅か50.5%の賛成で最終的に可決された。
社会民主党の全州議会議員のアニタ・フェツ氏は、
「企業の税制改正に対する、この本当に僅かな賛成は、大株主たちに対する最後のプレゼントを意味することは確かだ」
と語った。
swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ )
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