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ジャーナリストにとって世界で最も危険な国メキシコ

シリーズ 「表現の自由」, エピソード 17:

メキシコの民主主義は急速に発展してきたが、ジャーナリストにとっては世界で最も危険な国の1つだ。ニュースサイト「モニター・ミチョアカン」を運営するホエル・ヴェラ氏は今年初頭に同僚2人が殺害され、サイトを閉鎖せざるを得なくなった。

メキシコシティから155キロメートル離れたミチョアカン州シタクアロ。ニュースサイトのモニター・ミチョアカン(Monitor Michoacán)は「口を封じられた」と、コラムニスト兼副編集長だったヴェラ氏は訴える。

「社員が2人殺された。メディアが殺されれば社会が失うものは大きい。表現の自由を実践する人々を守るために社会が目を覚まさなければならない」とswissinfo.chに語った。

ヴェラ氏は2人の同僚が殺害された後、「表現の自由を保証する安全がない」ことを理由に、この小さなニュースサイトを閉鎖した。

メキシコではなぜジャーナリストの命を奪うような攻撃が起こるのか。ヴェラ氏は「メキシコの問題は汚職だ。刑事免責の原因となっている」と説明する。

国際的な非難

「我々は3月15日にミチョアカン州シタクアロで起きたジャーナリストのアルマンド・リナレス・ロペスの殺害を非難する」。欧州連合(EU)、ノルウェー、スイスは3月18日に発表した共同声明でこう表明した。

殺害されたリナレス・ロペス氏はモニター・ミチョアカンの編集長を務め、汚職事件の調査に取り組んでいた。1月31日に同僚のロベルト・トレド氏が殺害され、ロペス氏は自身への殺害予告を非難していた。

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スペインのエル・パイス紙など国際メディアは、これらの事件はメキシコが表現の自由にとって最も危険な国であることを示したと報じた。ヴェラ氏は「刑事免責のために、ジャーナリストを殺した加害者が責任を問われない」と憤る。「表現の自由を守るべき人々が、表現の自由を黙らせる結果になっている」(ヴェラ氏)

信頼できる保護体制を

ヴェラ氏はリナレス氏の死後、地元当局が組織した作業部会に参加した。ミチョアカンの報道機関の安全を守る体制作りを加速するための取り組みだ。

「真の保護を保証するため、法的枠組みや警備体制・組織を作らなければならない」(ヴェラ氏)。

メキシコの表現の自由のために戦うのはヴェラ氏だけではない。ジャーナリストに対する攻撃を記録するNGO「アーティキュロ19」は、メキシコに関する直近の報告書外部リンクで事案の4割以上は公務員が関与していると指摘した。

モニター・ミチョアカンについては「国・地方当局が何らの調査も経ずに、これらの犯罪は組織犯罪でありジャーナリズムとは結びついていない、と断言したことは憂慮される」と言明した。

報告書は、メキシコにおけるメディア攻撃を白日の下にさらす「責任を逃れる」手段だと批判した。同国では2022年だけでも既に15人のジャーナリストが殺害され、毎日80人が暴力によって命を落としている。

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領はリナレス氏の殺害を受け、「国家は抑圧せず、殺しもせず、不処罰も許さない」と表明した。だがEU・ノルウェー・スイスの共同声明が指摘したように、メキシコでのジャーナリスト殺害の真相は未解明のままで、加害者が裁判にかけられていないことは周知の事実だ。

編集:Mark Livingston、英語からの翻訳:ムートゥ朋子

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