スイスの視点を10言語で

はしか感染がスイスで急増

ワクチン
麻しん(はしか)は非常に感染力が高い Keystone

スイスで麻しん(はしか)の感染が急激に広がっている。2019年に入って3カ月足らずで感染数は100件近くに達している。

連邦内務省保健局外部リンクは1日、3月のはしかの感染数が55件で例年の2倍を記録したと発表した。2019年1~3月では97件(前年同期15件)という。2018年は年間48件、2017年は同105件だった。

はしかは感染力が極めて高いウイルス性疾患。子供が感染すると、合併症による難聴や脳障害のリスクがあり、重症の場合は死に至ることもある。ウイルスに感染した人の咳やくしゃみを介して広がり、下痢、中耳炎、肺炎、失明、脳炎などを引き起こすことがある。子供だけでなく大人も注意が必要だ。

世界保健機関(WHO)によると、欧州地域(約9億人)では昨年、過去10年で最多となる47カ国の8万2600人がはしかにかかった。このうち72人が死亡。最も影響が大きかったのはウクライナ(5万3千件)、セルビア(5076件)、イスラエル(2919件)、フランス(2913件)、ロシア(2256件)、イタリア(2517件)、ジョージア(2203件)、ギリシャ(2193件)だった。 欧州53カ国のうち6カ国は報告が上がっていない。

WHOは2月、欧州ではしかが急激に広がっているのは、子供に予防接種を受けさせない親が増えていることが一因と述べた。一部の国では、ワクチンが安全で効果的だという科学的証拠があるのにも関わらず、ワクチン接種に反対する人たちが親たちに予防接種を受けさせないよう呼び掛けている。

ただワクチンを接種した子供の数も増えており、WHOははしかの拡大を一時的なものとみている。

連邦内務省保健局は1987年、予防接種によりはしかを2000年までに根絶することを目指した計画を発表。WHOは、はしか根絶には人口の95%が予防接種を受けることが必要としている。スイスは現在、2歳で87%、16歳で93%となっている。

ただ接種率は州によって大きく異なり、都市部はほぼ100%だが農村部ははるかに低い。アッペンツェル・インナーローデン準州(人口約1万6千人)が最も低く82%だった。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

おすすめの記事

スイス鉄道、国外へ乗り入れせず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)取締役会長のモニカ・リバー会長は、自社列車で国外に乗り入れないとする同社の決定を擁護した。

もっと読む スイス鉄道、国外へ乗り入れせず
スイス事故防止協議会(BFU)によると、シートベルトの着用により、過去10年間の国内交通事故で負傷事故5700件、約650件の死亡事故を未然に防いだ

おすすめの記事

命を救う後部座席のシートベルト スイスで義務化30年

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは、30年前から車の後部座席のシートベルト着用が義務付けられている。スイス事故防止協議会(BFU)と連邦統計局の最新データによって、この安全対策の有効性が裏付けられた。

もっと読む 命を救う後部座席のシートベルト スイスで義務化30年
握手を交わすスイスのアムヘルト大統領と岸田首相

おすすめの記事

アムヘルト大統領、岸田首相と会談 FTA改定を改めて要望

このコンテンツが公開されたのは、 訪日中のヴィオラ・アムヘルト大統領兼国防相は7日、官邸で岸田文雄首相と会談し、日本・スイス間の自由貿易協定(FTA)改定というスイスの要望を改めて表明した。

もっと読む アムヘルト大統領、岸田首相と会談 FTA改定を改めて要望
UNRWAの前でたむろす子どもたち

おすすめの記事

UNRWA、「イスラエル襲撃に関与した可能性」の9人を解雇

このコンテンツが公開されたのは、 国連は5日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員9人が昨年10月7日のイスラム過激派ハマスによるイスラエル襲撃に「関与していた可能性がある」との内部調査を発表した。

もっと読む UNRWA、「イスラエル襲撃に関与した可能性」の9人を解雇
診察を受ける赤ちゃん

おすすめの記事

スイスで小児科医が不足

このコンテンツが公開されたのは、 スイス小児科医協会は医師が足りず、特に地方部で子どもが十分な治療を受けられなくなる可能性があると警告する。背景には柔軟な働き方を求める世代の増加や役所・企業の「官僚主義化」があると批判する。

もっと読む スイスで小児科医が不足
注射を打たれる男性

おすすめの記事

コロナ再流行のスイス、ワクチン不足に

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは現在、新型コロナウイルス感染症が再び流行している。それ自体はさほど深刻ではないものの、ワクチンを受けたくても薬局や診療所に在庫がない事態が発生。背景には7月初めの制度変更がある。

もっと読む コロナ再流行のスイス、ワクチン不足に
座り込む女性の横顔

おすすめの記事

スイスで人身取引被害が増加

このコンテンツが公開されたのは、 「人身取引と闘うプラットフォーム(Plateforme Traite)」は2023年、スイスで197件の人身取引(人身売買)事案を記録した。前年比で11%増加した。

もっと読む スイスで人身取引被害が増加
耳を抑える子どもと打ち上げ花火

おすすめの記事

「建国記念日に花火欠かせない」半数 スイス世論調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス人の半数が、打ち上げ花火は8月1日の建国記念日に欠かせないと考えていることが最新の調査で分かった。しかし、回答者の大多数は個人での花火打ち上げに反対している。

もっと読む 「建国記念日に花火欠かせない」半数 スイス世論調査

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部