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普通の木綿は体に悪い

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最近はエコ栽培による木綿の衣料品も徐々に出回るようになった。とはいえ、いまでも綿畑の農薬で毎年、何千人もの人たちが死んでいく。

綿畑のエコ栽培の比率は非常に低い。その総面積は世界の農地全体の2.5%を占めるだけにもかかわらず、世界全体で使われる農薬の16%が綿畑に散布されているという。

農薬害で年間2万人が死亡

 農薬は綿畑の労働者の健康を害し、水汚染をもたらす。従来型の方法で栽培された木綿は最も安く取り引きされることが多い。商品が安いということは、縫製の労働者に支払われる賃金も安いことを意味する。スイスの人道援助団体「ヘルヴェタス ( Helvetas ) 」は10月中旬、ベルン市内の道路に人間をかたどった白い布のぬいぐるみを置き、こうした実情を行き交う人々にアピールした。ヘルヴェタスによると、綿畑の農薬害で死亡する人の数は毎年約2万人に上るという。

 「Tシャツを買う時には、エコ綿でありフェアートレードにのっとった商品かどうか確かめましょう」とヘルヴェタスは消費者に訴える。エコ綿は健康に良いばかりではなく、農耕地も保護する。フェアートレードの綿は小規模農家に十分な収益を約束し子どもが非合法的に労働させられることを避けるという。

有機 ( エコ ) 綿の需要が伸びる

 消費者には選択の自由がある。エコ栽培でフェアートレードの綿製品は近年大幅に増えた。ファッション業界もこうした商品をそのコレクションに多く取り入れるようになっている。
「良心をまとうことが大流行になると思う」
 とデンマークのファッションデザイナー、ペーター・イングヴェルゼン氏は言う。イングヴェルゼン氏のエコ綿コレクション「ノアール( Noir ) 」も評判が高い。

 2008年における世界のエコ綿製品の売上は32億ドル ( 約2870億円 ) に上る。これは前年比63%もの増加だ。とはいえ、綿製品全体に占める割合は「オーガニック綿畑と繊維リポート ( Organic Cotton Farm and Fiber Report ) 」によると、たった0.55%である。スイス国内でみるとエコ綿の占める割合は約5%もあり、世界の平均を大きく上回っている。スイスでは主なメーカーとして、流通大手コープの「ナトゥーラライン( Naturaline )」、「スイッチャー( Switcher )」、「マックス・ハフェラー ( Max Havelaar ) 」などが挙げられる。

 ヘルヴェタスはスイス国内でのエコ綿製品のシェアーを2010年末までに10%に引き上げることを目標として掲げた。連邦経済省の経済管轄局 ( SECO ) も協力を表明している。

エコならフェアーか?

 ヘルヴェタスによるとエコ綿であればほとんどがフェアートレードにのっとっているという。しかし、エコだからといって盲信は危険だ。開発援助の政治的団体「ベルン宣言 ( EvB )」によると、消費者を惑わすようなラベルがあると指摘する。倫理的に正しいと思わせるようなラベルが多いが、エコと言いながら一部の薬品を使っていないだけというものもあるという。例えば証明書「エコ・テックス-100 ( Öko Tex-100 ) 」は、消費者が皮膚アレルギーにならないことだけを前提とした製品に付けられる。エコ栽培であっても倫理にかなった製品とは限らない。

 ベルン宣言もヘルヴェタスも消費者には縫製労働者の労働条件をチェックすることを勧める。これをクリアした製品ならば社会倫理面とエコ面で安心できるという。

 大手流通も長期的計画に取り組んでいる。エコでフェアートレードの綿製品を14年前から扱うコープでは、綿栽培から製品の完成までの工程を独自に作り上げてきた。短期的な商売ではこうした製品の販売はできないとコープの広報、ニコラ・シュミット氏は胸を張る。

シャルロット・ヴァルザー、swissinfo.ch、InfoSüd
( 独語からの翻訳、佐藤夕美 )

国連は2009年を国際天然繊維年と定めた。
世界の天然繊維の年間生産量は3500万トンに上る。衣料品、カーペット、じゅうたんなどの消費財として使われる。
天然繊維は紙、包装材、自動車の接着剤に利用される。

自然繊維は世界の経済や、それを生産する小規模農家や労働者の生活に重要であるとユネスコ ( UNESCO ) は位置づ付けている。
天然繊維は年々、アクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなどに取って代わられるようになったことから、国際天然繊維年では、天然製品の重要性に対して世界の人々の認識を高めさせる運動が展開されている。

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