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鳥インフルエンザへのスイスの対策

鳥インフルエンザはアジアからロシアを通りトルコ、ルーマニアへ広がり、西欧も感染しそうな勢いか swissinfo.ch

トルコとルーマニアで鳥インフルエンザが発生したことを受け、スイスではこれらの国からの家禽の輸入を禁止する処置をとった。

予防薬も十分に備えてあり、人間への感染は非常に低いことなどからスイスの連邦健康局は、国民にパニックになる必要はないと呼びかけている。

 連邦健康局(BAG/OFSP)は「現状はこれまで通り安定している」という。最も毒性が強いH5N1型でさえ、人間に感染することは非常に稀であるとはいえ、ニワトリなど家禽への感染が西方へ拡大していることは確かである。2003年にアジアの12カ国で発生して以来、カザフスタン、ロシアを経由し今度はトルコやルーマニアでも発生した。

予防薬は十分にある

 トルコやルーマニアで発生した鳥インフルエンザが人間にも感染するウイルスであるかはいまのところ確認されていない。スイス薬局協会のマルセル・メスニル氏は「鳥が感染することと人間が感染することが混同され、人から人へ感染するのではないかと不安になっている」と指摘する。

 万が一、H5N1型のウイルスと人間が感染するインフルエンザのウイルスが同時に人間などに感染すると、ウイルス株が混合したり変化したりして新種のウイルスが生まれ、人から人、動物から人へ感染することも考えられる。その場合の予防は「いまから人間が感染するインフルエンザに対してのワクチンをつくることで対応できる」とメスニル氏は言う。

 1918年と1919年に流行したスペイン風邪の場合も、若くてウイルスに対する抵抗力がなかった人が主に犠牲になったが、抗体があれば世界的な大流行にまで至らなかったと考えられている。現在のところスイスには、ロシュ社の抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」が、人口の25%相当分は貯蓄されているが、欧州諸国の中にはこれから用意しようとしている国もある。

対策は立てたが効力の方はいまのところ不明

 「タミフルが、これまで知られているウイルスの感染力を弱める力はあるだろう。服用すれば抗体が体内で作られる」とメスニル氏は説明するが、家庭で1パック80フラン(約6400円)もする薬を買いだめするのは意味がない。鳥インフルエンザに対する効力がいまだはっきりしないことと、副作用もあり購入には医師の処方箋が必要だからだ。また、連邦保険局はタミフルを鳥インフルエンザに対応する薬としているが、同様の効果が期待できるほかの薬も薬局にはあるのだ。

 一方で政府は、H5N1型が人間に感染しないとしても、家禽を扱う人、長い間病気を患って体力の落ちている人、医療関係者には予防薬を服用するよう勧めている。さらに政府は、H5N1型ウイルスの検査のため480万フラン(約4億2500万円)を投入することにした。

swissinfo、 イザベル・アイヒェンベルガー 佐藤夕美(さとうゆうみ)意訳

- 1997年初めて香港で発生する。
- 2003年に韓国で発生し、その後アジア12カ国、ロシア、カザフスタン、トルコのほかルーマニアにも広まったと見られる。
- 鳥インフルエンザの型は15種類あるが、このうち大きく分けてH5型とH7型が毒性が強く最も危険。
- 2003年から今までにアジア諸国では鳥インフルエンザで65人の死亡が確認された。
- 世界保険機関(WHO)は、世界的な大流行となれば200万〜740万人の死者が出るとも予想している。

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