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ローザンヌ国際バレエコンクール 水谷さんと根本さん入賞

蝶が舞うように軽やかに、クラシックのバリエーション「コッペリア、スワニルダのバリエーション」を踊った水谷さん 撮影 小川峻毅

第37回ローザンヌ国際バレエコンクールの決勝が2月1日行われ、埼玉県出身の水谷実喜さん( 15歳 ) が3位、東京都出身の根本里菜さん( 17歳 ) が6位で入賞を決めた。日本人が2人も入賞したのは久しぶりで、バックステージは喜びに沸いた。

1位はニュージーランドのハンナ・オニールさん、2位は中国のツァオキアン・ペンさん。4位の入賞を決めたベルギーのエド・ヴェーナンさんは、コンテンポラリーのバリエーション「春と秋/スプリング・アンド・フォール」を圧倒的な表現力で踊り「コンテンポラリー賞」も射止めた。

夢のまた夢です

 「憧れのローザンヌに来ただけでもうれしいのに、スカラーシップをいただけるなんて夢のまた夢です」
 と水谷さんは喜びの第一声を語り、
「小柄なので、自分らしさを出していきたいとローザンヌでは考えていた。今日はステージに出たらお客さんがたくさんいたので感動して、がんばって踊りたいと思った。普段通りの実力が出せたと思う」
 と落ち着いた答えが返ってきた。

 今回9人の審査委員の1人を務めた吉田都 ( よしだみやこ ) 氏も
「まだ15歳なのに、あれだけの基礎をきちんと持っているので、これからどんどん伸びていくと思う。これからが楽しみだ」
 と評価した。

 一方、根本さんは、
「入賞者の発表で、自分が呼ばれるとは思っていなかったのでびっくりした。本当にうれしかった」
 と喜びを静かな口調で語った。今年2年目の挑戦で入賞した根本さんは、
「この一年間音を感じて踊ることと、足をきれいにつま先まで手のように使えるように努力した」
 と1年を振り返った。

 コンテンポラリーの課題「ノクターン」は、今日は思う存分踊れたと語ったように、細部の動きまで気を配った、女性らしい優雅で表現豊かなものになり、
 「あそこまで、ノクターンを踊れるダンサーはなかなかいない。素晴らしかった。審査委員たちも高く評価していた」
 と吉田氏も絶賛した。

 さらに吉田氏は、2人とも日本人の良い点である内に秘めたものが外にいい感じで出ていて、さらにきちんと踊っていたので、コンクールの初めから高い評判を得ていたと語った。

ローザンヌコンクールの独特の良さ

 吉田氏によれば、今回は決勝で3人近くがほぼ同点で、最終的に中間点の差で順位が決まるほど、決勝で伸びた生徒が多く、またみんな同じように高いレベルだったという。決勝に挑んだ日本人男子についても
「高田樹 ( たつき ) さんは日々どんどん良くなって、今日が最高だった。池田武志さんも恥ずかしがらずに外に表現を出していくタイプで、初日から目を引いた。2人とも良かったので入賞を逃したのが残念だ」
 と話した。

 また、今年も半数近いアジア勢に関しては、
「韓国や中国の生徒のプロポーションの良さに今回は圧倒されたが、踊りだすと日本人の方が、動きのコーディネーション力は勝っていると感じた」
ともコメントした。
 
 最後に、
「久しぶりにローザンヌに来たが、コーチやボランディアの通訳の方々など、関係者全員みんな優しく、生徒を育て見守るという独特の雰囲気があり、ここは素晴らしい。審査方法も随分変わり、改善に改善を重ねているが、あくまで生徒を上手に評価しようとする考えに貫かれている」
 と改めてローザンヌコンクールを高く評価した。

swissinfo、ローザンヌにて 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 

1位 ニュージーランドのハンナ・オ二ールさん( ハンナ・オニールさんは、日本語もできるハーフの方で、オニール八菜というのが正式名だという)、2位中国のツァオキアン・ペンさん、3位埼玉県出身の水谷実喜さん、4位ベルギーのエド・ヴェーナンさん、5位ポルトガルのテルモ・モレイナさん、6位東京都出身の根本里菜さん、7位チリのセバスチャン・コンチャさん。以上の入賞者は全員同額の奨学金を受け取り、一流の国際的バレエ学校やカンパニーに留学できる。

今回の「コンテンポラリー賞」は4位入賞のエド・ヴェーナンさんに、「観客賞」は愉快で軽快なコンテンポラリーバリエーションを踊って観客を魅了した5位のテルモ・モレイナさんに贈られた。

1973年ローザンヌで創設された「ローザンヌ国際バレエコンクール」は、15~18歳の若いダンサーを対象にした世界で唯一の国際コンクール。その目的は、伸びる才能を見出し、その成長を助けることにある。「英国ロイヤル・バレエ・スクール」、「スクール・オブ・アメリカン・バレエ」など、世界60カ国以上の学校、バレエ団が協力している。

今年は31カ国192 人 ( 男子42人、女子150人 ) の候補者の中から、21カ国75人 ( 男子22人、女子53人 ) が選ばれた。

予備審査は10月にローザンヌで行なわれ、コンクールの「アーティスティック委員会 ( artistic comittee ) 」がDVD を観て審査した。

今年も昨年と同様、2つの年齢グループに分かれて練習を行い、練習点と完成度の点の合計で、練習最終日の1月31日に決勝進出者約20人が選抜され、今日の決勝で7人の入賞者が選ばれた。

選抜の指標は、才能、身体、技術的条件、自分を表現する力、感性と想像力を持って曲に乗る力、明確な理解力、さまざまなダイナミックな表現に合わせて動ける技量、動きを自分のものとし、それぞれの動きを組み合わせる力など。

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