異常気象で雪不足
年末年始にかけ北極からの強い寒波の影響で全国氷付けとなったスイスで、今度は一転、異常高温が続いている。ご覧のように深刻な状況に陥っているスキー場もある。
週末、各地の谷では気温が20℃に達したところがあり、海抜2000m付近でも10℃まで上がった所もあった。年末のクリスマス休暇に大雪が降ったのを最後に、過去3週間は季節外れの高温が続いており、リゾートからは雪不足の悲鳴が届いている。メジャーなリゾートが雪不足から救われているのは、近年導入された人工雪マシンのおかげだという。世界的に有名なスキー場が集中するグラウビュンデン州とヴァリス州では、ほとんどのスキー場でリフトはフル稼動中だという。「ヴァリスとグラウビュンデンでは、ほとんどのスキー・リゾートは標高1800m以上の高地にあるので、雪の状態は良い。」とスイス観光局のシリヴィア・デヴィートさんはいう。
この状況下で、スロープから麓の村まで滑降できるほどの雪に恵まれた場所があるという。ツェルマットがそうだ。が、ツェルマット観光局のダニエル・ルッゲンさんは「山からツェルマットの村まで滑降することはできる。が、下の方でサイドを見ると、昨年からの雪が残っている所が何カ所かあるだけということがわかる。」と述べた。メニューインで有名なベルナー・オーバーラントのクシュタートGstaadでは、村には雪が全く無いが、スロープでは積雪30cmから40cmを維持している。「ほとんどのスロープは北斜面にあるので問題ない。雪が足りなくなったら人工雪を作る。」と、ツヴィシーグ・クシュタート・マーケティング部長は楽観的だ。
人工雪はウィンターリゾートの救世主となっている。人工雪があれば、アルプスのスキーリゾートはどこでも永久に稼動できると楽観視する人もいる。が、地球温暖化の前には、人工雪など一時的な救済措置に過ぎない。ツェルマット観光局のルッゲンさんは、未来の暖冬対策を語った。「今後は人工雪にこれまで以上に多く投資するのは明らかだが、同時に氷河スキーや、もっと高地のスキーエリアのプロモーションにも力を入れて行く。ツェルマット地域が観光客にとって魅力あるリゾートとしての地位を保ち続けられるよう、工夫をしていく。」。
が、レマン湖畔のシャトーデーのようなクラシックなウィンターリゾートは、ツェルマットやクシュタートほど幸運ではない。低地のため人工雪も役に立たず、リフトはほとんど運休している。また、サン=モリッツ、クラン・モンタナ、ヴェルビエ、などのトップリゾートでは、雪のコンディションによってはバスでスキーヤーらを近くのより良い状態のリゾートにまで送迎している。
今季、最大の収益を上げそうなリゾートはダボスだ。世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)はニューヨークに行ってしまったが、観光客に恵まれた。「雪が多いというわけではないが、十分だ。スロープは全部オープンしている。谷あいのクロスカントリー・コースもオープンしている。アイススケートリンクもあるし、理想的なウィンターリゾートを提供できる。」と、ミヒャエル・カフリッシュ・ダボス・マーケティング・マネージャーはいう。
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