現代社会に必要なのはコンパクトで環境に優しい自動車だ。だがスイスの現状は異なり、大型で出力の大きい車が人気だ。
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この数年、ジュネーブモーターショーでは一つの傾向が見て取れる。大型車が人気なのだ。それはスイスの道路を眺めていても分かる現象だ。
ピックアップトラックが増えている。米国では広く普及しているが、欧州ではまだ少数派だ。大型車の主流といえばスポーツ用多目的車(SUV)。スイスでは一つの社会現象になっている。
特殊なスイス
スイス連邦運輸省道路局と連邦統計局によると、スイスでは大型で出力の大きい車の人気が高まっている。
大きさ・出力の組み合わせを見ると、スイスは欧州で特殊な自動車事情を抱えていると言える。他の欧州諸国では3分の1程度のシェアを持つSUVが、スイスでは約半数を占める。
出力で言えばスイスは欧州平均を25%上回る。自動車輸入企業の業界団体・オートスイス外部リンクのフランソワ・ローナ理事長は、フランス語圏のスイス公共放送(RTS)に「スイス人は馬力が好きだ」と話した。
汚染は少なく
大型で馬力が大きい車が好まれる傾向が強まっているといっても、環境への悪影響が同じように大きくなっているわけではない。法規制によって環境に優しい仕様に変わりつつあるからだ。
走行距離1キロ当たり200グラム以上の二酸化炭素(CO2)を排出する新車登録台数は2017年、全体の3%だった。05年時点の35%から急速に減った。
2010年時点では、CO2排出量100~150グラムの車は150~200グラムと同じシェアだった。排気量の最も多いクラスは25%以下で、環境配慮型は62%だった。
2010年時点で最も排出量の少ない100グラム未満クラスはほとんどなかったが、2015年には10%に増えた。ただその後停滞している。
電気自動車は少数派
CO2や粒子状物質の排出を劇的に減らすには、環境車のシェアはもっと大きくなければならない。だがそこへの道のりはまだ長そうだ。18年の新車登録台数のうちハイブリッド車・電気自動車のシェアは7.2%と過去最高を更新したが、まだ少数派にとどまっている。
ディーゼル車からガソリン車への転換も進んでいる。新車登録台数のうちディーゼル車の割合は2016年の39.2%をピークに2年連続で減り、18年は30%だった。
スイスの自動車市場はほぼ100%輸入車だ。最も人気なのはフォルクス・ヴァーゲンで、排ガス不正が発覚した後も衰えない。トヨタやスズキ、マツダなど日本車のシェアも高い。近年はトルコのシュコダやスペインのセアト、韓国の現代自動車なども増えている。
※この記事の原文(仏語)は2018年3月に配信されました。統計数値の一部を更新・追加しています。
(独語からの翻訳&編集・ムートゥ朋子)
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