スイスの視点を10言語で

プーチン大統領の愛人、スイスに滞在中?

View on St. Moritz
グラウビュンデン州サン・モリッツ湖の眺め © Keystone / Christian Beutler

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の愛人と目されるアリーナ・カバエワ氏がスイスで生活しているとの報道が世間を賑わしている。また、新たに対ロ制裁対象となった人物のうち、4人がスイスで暮らしていることが明らかになった。

連邦司法・警察省はドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)のニュース番組「ターゲスシャウ(Tagesschau)外部リンク」からの問い合わせに対し、「該当する人物がスイス国内にいることを示す兆候はない」と述べた。新体操の元五輪代表でプーチン大統領の愛人と目されるアリーナ・カバエワ氏がスイス国内に滞在しているとの報道を受けての回答だ。

カバエワ氏は2015年、イタリア語圏のティチーノ州ルガーノ市で女児を出産したと報じられ、スイス国内外のメディアから注目を集めた。当時、女児の父親はプーチン大統領であるとの見方が強かったが、ロシアの報道官はこれを否定していた。

刑法の専門家であるマーク・ピエス氏は、ターゲスシャウ番組内で「スイス当局がこの問題を調査するのは正しいと思う」とコメントし、「これは彼らの個人的な問題ではない。プーチンの愛人が滞在しているかどうかは、スイスにも関係してくることだと思う」と述べた。

またピエス氏は、カバエワ氏がスイス国内に滞在しているのであれば、スイスの評判を落とすことになると指摘。 「スイスは他の場所と同様、ロシアにとって西側世界への入り口のようなものだ。商品取引もあるし、ロシア人がスイス国内の銀行に保有していると言われる2千億フラン(約25兆円)もある。正当化されようとされまいと、スイスがあらゆる人々の避難場所であるという印象はもちろん強まるだろう」と話した。

制裁対象者がスイスに居住

ウクライナでの戦争を受け、連邦政府は16日、ロシアの個人や企業・団体に対する制裁対象を拡大。ロシアとベラルーシのオリガルヒ(新興財閥)や著名な実業家を含む個人197人と9つの企業・団体がリストに追加された。19日付のドイツ語圏日刊紙ターゲス・アンツァイガーによると、新たに制裁対象となったロシア人のうち4人はスイスに住んでいる。同紙によれば、3人は強制送還となる可能性があり、1人はスイス国籍保持者のため保護されている。スイスで11番目の富豪とされる実業家アンドレイ・メルニチェンコ氏も制裁対象の1人だ。

報道によると、制裁対象となった4人がスイス国内のどこに滞在しているかは現在のところ不明。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日、スイス・ベルンの反戦デモ集会でオンライン演説を行い、ウクライナ戦争の資金源となっているロシアのオリガルヒにより厳しく対応するように求めた。

ゼレンスキー氏は「街全体が破壊されるとはどういうことか、平和な街が破壊されるとはどういうことか、それを感じられるウクライナ人になってほしい」と呼び掛け、「スイスの美しい街並みを好み、そこで不動産を所有しながらのうのうと暮らす人々の命令で破壊される…。これらの特権を彼らから奪うのは公平なことだろう」と訴えた。

(英語からの翻訳・編集 大野瑠衣子)


人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

机に座るスーツ姿の男性

おすすめの記事

スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は16日、ウクライナに侵攻するロシアへの追加制裁を発表した。ロシアの産業・軍事・技術に必要な製品の輸出規制が強化されるほか、政党、NGO団体、報道機関がロシア政府からの寄付を受け取ることが禁止される。

もっと読む スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
パン屋の陳列棚

おすすめの記事

チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か

このコンテンツが公開されたのは、 高級ブランドが立ち並ぶチューリヒのバーンホフ通りにパン屋が開業し、大きな話題を呼んでいる。通りを象徴する百貨店の撤退や再開と合わせ、街の大きな転機になるとの指摘もある。

もっと読む チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か
カメラ目線で微笑む女性の顔

おすすめの記事

チューリヒ映画祭、最優秀賞にルンガーノ・ニョニ監督 伊藤詩織監督作品は2部門受賞

このコンテンツが公開されたのは、 第20回チューリヒ映画祭(ZFF)が10月3日~13日開かれ、ルンガーノ・ニョニ監督のコメディ映画「On Becoming a Guinea Fowl」が最優秀作品賞を受賞した。2位には伊藤詩織さんが監督したドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」が選ばれた。

もっと読む チューリヒ映画祭、最優秀賞にルンガーノ・ニョニ監督 伊藤詩織監督作品は2部門受賞
ETHの校舎

おすすめの記事

世界大学ランキング 連邦工科大学チューリヒ校は欧州1位

このコンテンツが公開されたのは、 英教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が9日発表した世界大学ランキング(25年度)で、スイス連邦工科大学チューリッヒ校が前回に続き11位にランクインし、欧州内では1位の評価を獲得した。

もっと読む 世界大学ランキング 連邦工科大学チューリヒ校は欧州1位
チーズのにおいをかぐ審査員ら

おすすめの記事

スイスでチーズ品評会 最優秀賞決まる

このコンテンツが公開されたのは、 スイス南部ティチーノ州ルガーノで開かれたチーズ品評会「スイスチーズ・アワード」で4日、1100品を超えるチーズの中から、最も優れた3品が選ばれた。

もっと読む スイスでチーズ品評会 最優秀賞決まる
事件現場

おすすめの記事

チューリヒ、男がナイフで園児襲撃 命に別状なし

このコンテンツが公開されたのは、 チューリヒ市北部で1日、路上を歩いていた園児の集団に男が刃物で切りつけ、子ども3人が負傷した。チューリヒ市警察は中国人留学生の男(23)を逮捕した。

もっと読む チューリヒ、男がナイフで園児襲撃 命に別状なし
氷河

おすすめの記事

氷河の融解でスイスとイタリアの国境に変化

このコンテンツが公開されたのは、 スイスはイタリアとフランスとの国境を変更した。イタリアとの国境は氷河の融解、フランスとの国境はジュネーブ地方の新しい路面電車と河川にそれぞれ関連している。

もっと読む 氷河の融解でスイスとイタリアの国境に変化
スイス中銀

おすすめの記事

スイス中央銀行、0.25%の利下げ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス国立銀行(中銀、SNB)は26日、政策金利を0.25%引き下げ、1%にすると発表した。

もっと読む スイス中央銀行、0.25%の利下げ

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部