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コロナ禍に労働者の3分の1以上が在宅勤務 スイス労働力調査で

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スイス雇用主連盟(SAV/USI)によると、スイスには在宅勤務をする法的権利はない © Keystone / Christian Beutler

連邦統計局は19日、最新の労働力調査の結果外部リンクを発表した。新型コロナウイルスの影響で、スイスの労働者の3分の1以上が、少なくとも勤務時間の一部で在宅勤務していたことが分かった。

在宅による勤務時間は業種によって異なり、最も多かったのはICT(情報通信技術)関連の労働者だった。

調査結果によると、ICTセクターは76.3%の労働者が年間を通じて在宅勤務を行った。調査は2019年と20年のスイス労働力調査のデータに基づく。

2位は金融・保険セクターで、61.4%が在宅勤務だった。また、教育・訓練、専門サービス、科学・技術サービスセクターでも、少なくとも一時的に在宅勤務を行った労働者が半数以上を占めた。

全体で見ると、昨年は労働者の34.1%が、勤務時間の全部または一部を在宅勤務していた。2019年は24.6%だった。

法的権利

スイス政府は昨年、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、スイスの労働者に対し可能な限り在宅勤務を行うよう呼び掛けた。しかし、在宅勤務をする法的権利の有無、雇用主による従業員への在宅勤務強制の可否、在宅勤務中の休憩時間の扱いなど、在宅勤務の導入による現実的・法的な問題も複数生じた。

スイス雇用主連盟(SAV/USI)によると、スイスには在宅勤務をする権利は存在しない。つまり、雇用主の許可を得ずに在宅勤務を行った従業員は罰せられる危険性がある。そのため理論的には、パンデミック(世界的大流行)の最中であっても、最も脆弱な労働者グループに職場に出向くよう求めることもできた。

しかし同時に、雇用主は労働者の健康管理を行うよう法律で定められている。法律事務所MMEによると、職場で従業員の安全が確保できず、かつ在宅勤務もできない場合、従業員は合法的に自宅待機が可能となり、給料も全額支給される。

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