国民党のアルベルト・レシュティ党首
Keystone
スイスの保守系右派・国民党党首は27日、欧州連合(EU)との「人の移動の自由」を定めた協定について、協定破棄の是非を問う国民投票実施に向け必要な署名が集まったと語った。
このコンテンツが公開されたのは、
国民党のアルベルト・レシュティ党首がドイツ語圏の夕刊紙ブリックに対し、12万5千人分の署名を集めたと明かした。国民投票を実現させるには、イニシアチブ(国民発議)の発起人は18カ月以内に有効な10万人分の署名を集めなければならない。国民党は協定の破棄を求めるイニシアチブを提起し、今年1月から署名集めを行っていた。
レシュティ氏は、署名の承認手続きはこれからだが「先に進めるという確信がある」と強調した。同氏は署名がこれほど早く目標数に達したことに驚いたという。
国民党は以前から、EU出身者の流入によって国内の雇用の安全が脅かされていると主張している。レシュティ氏は署名がわずか半年足らずで目標を達成できたのはその懸念の表れだとした。
特に署名に応じた人が多かったのはスイスの国境沿いの地域で、イタリアに近いティチーノ州、スイス西部のジュネーブ州、同北部のバーゼル市など。これらの地域は隣国からの越境労働者が多い。
レシュティ氏は、イニシアチブの焦点はあくまでも人の移動の自由についてであり、経済など幅広い分野で取り決めを交わすスイスとEUとの二国間協定に悪影響はないと述べた。
>>スイスとEUの二国間協定って?
レシュティ氏はまた、EUの関心はその他の二国間協定を維持することにあり、それに向けた解決策は見つかると語った。
国民党は、人の移動の自由が「若くて安価な労働者を我が国に呼び込んでいる」ため、国内の雇用市場における高齢の労働力問題や賃金に圧力をかけていると批判。長期的に見てこの傾向は有害だとしている。
レシュティ氏は人の移動の自由がもたらす経済的影響は、個々の企業が得る短期的な利益よりも重視されるべきだと語った。
おすすめの記事
トランプ氏銃撃、スイス大統領「容認できない」
このコンテンツが公開されたのは、
ドナルド・トランプ前大統領が13日に銃撃された事件を受け、スイスのヴィオラ・アムヘルト大統領は「政治的な暴力は容認できない」と訴え、一日も早い回復を祈った。
もっと読む トランプ氏銃撃、スイス大統領「容認できない」
おすすめの記事
ツェルマット行き鉄道、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休 大洪水で
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部を中心に発生した大規模な洪水の影響を受け、ツェルマット~ディセンティス間を結ぶマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)は、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休するとの見通しを明らかにした。
もっと読む ツェルマット行き鉄道、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休 大洪水で
おすすめの記事
スイスが対ロシア制裁リストを拡大
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは対ロシア制裁リストを拡大した。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いていることを受け、欧州連合(EU)が決定した変更を採用した。
もっと読む スイスが対ロシア制裁リストを拡大
おすすめの記事
AIによる失業懸念、スイスは最低
このコンテンツが公開されたのは、
人工知能(AI)は日々の仕事に影響を与えている。スイスでは、多くの人たちが仕事を含めAIを使っているが、この新しいテクノロジーのせいで仕事を失うと心配している人は比較的少ないことが最新の調査で分かった。
もっと読む AIによる失業懸念、スイスは最低
おすすめの記事
核兵器禁止条約への加盟求めスイスで署名集め開始
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの市民団体「核兵器禁止を求める同盟」は、国連核兵器禁止条約への加盟を求めるイニシアチブ(国民発議)を立ち上げた。必要な署名が集まれば国民投票が実施される。
もっと読む 核兵器禁止条約への加盟求めスイスで署名集め開始
おすすめの記事
スイス民族衣装祭りに観光客10万人
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・チューリヒで6月28~29日、連邦民族衣装祭りが14年ぶりに開催され、延べ約10万人の観客が訪れた。
もっと読む スイス民族衣装祭りに観光客10万人
おすすめの記事
クレディ・スイスのスイス法人が消失
このコンテンツが公開されたのは、
スイス二大銀行だったUBSとクレディ・スイスの現地法人の合併が1日、完了した。今後スイス国内でも「クレディ・スイス」の看板撤去が進むことになる。
もっと読む クレディ・スイスのスイス法人が消失
おすすめの記事
スイス人の平均寿命、過去最高に 男性は82.2歳
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの平均寿命は2023年時点で女性85.5歳、男性82.2歳と、過去最高記録を更新した。
もっと読む スイス人の平均寿命、過去最高に 男性は82.2歳
おすすめの記事
連邦内閣、マルティン・シュレーゲル氏をスイス中銀新総裁に任命
このコンテンツが公開されたのは、
連邦内閣はスイス国立銀行(SNB、中銀)の新総裁に予想通りマルティン・シュレーゲル副総裁を任命した。ペトラ・チュディン氏が新たな理事会メンバーとなる。
もっと読む 連邦内閣、マルティン・シュレーゲル氏をスイス中銀新総裁に任命
おすすめの記事
職場のワンコ、従業員の満足度を向上 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
犬は職場の雰囲気を良くし、飼い主だけでなく他の従業員にとっても良い影響を与える――スイスの労働者を対象に実施された調査は、職場に犬がいることの効用を強調する。
もっと読む 職場のワンコ、従業員の満足度を向上 スイス調査
続きを読む
おすすめの記事
スイスの建設業界 「失業者ファースト」で国内雇用を守れるか
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの建設業は失業率が全国平均より高いのに、外国人労働者の雇い入れが増えている。政府は実質的に国内雇用を優先する「失業者ファースト」を掲げ、7月から「求人申告制度」をスタートさせる。これが問題解決の一助となるか、はたまた行政手続きの負担が増えるだけなのか。業界で意見が割れている。
もっと読む スイスの建設業界 「失業者ファースト」で国内雇用を守れるか
おすすめの記事
薄れるスイスの魅力 移民規制案の影響か?
このコンテンツが公開されたのは、
大手銀行クレディ・スイスとUBSが毎年行っているリサーチによると、外国企業にとってスイス国内で最も魅力的な立地はツーク州だ。他を引き離し同州が首位に立った理由には、魅力的な税制、高度人材の確保のしやすさ、交通の便の良さ…
もっと読む 薄れるスイスの魅力 移民規制案の影響か?
おすすめの記事
スイスの中立「今や『守り』の姿勢は成り立たない」
このコンテンツが公開されたのは、
永世中立国、スイス。この国ほど国際的なつながりが強い国はあまりない。外交上のアイデンティティーとも言える中立政策においても積極的な「攻め」の姿勢が極めて重要だと、設立から50周年を迎えたスイス外交政策協会の新会長、クリスタ・マルクヴァルダー下院議員は語る。
もっと読む スイスの中立「今や『守り』の姿勢は成り立たない」
おすすめの記事
国際法より国内法を優先?「国内法優先イニシアチブ」とは
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでいま、国際法より連邦憲法を優先するよう求めるイニシアチブ(国民発議)が話題になっている。発起人の右派国民党は「(憲法を最上位にすえることで)スイス固有の民主主義を取り戻す」と訴えるが、連邦政府などは、国際法を軽んじる姿勢を取れば他国の信頼を失うと反対する。一体どんな内容なのか。
もっと読む 国際法より国内法を優先?「国内法優先イニシアチブ」とは
おすすめの記事
世界一高いステーキは信頼のスイス産
このコンテンツが公開されたのは、
なぜスイスの肉は世界一高いのか―畜産農家、消費者団体、食肉業界の専門家にそれぞれの意見を聞いた。
もっと読む 世界一高いステーキは信頼のスイス産
おすすめの記事
マイナス金利政策への苛立ちは頂点に
このコンテンツが公開されたのは、
マイナス金利政策は金融業界にとって悩みの種だ。それが長引くほど、銀行家からの非難の声は大きくなる。スイスのプライベートバンキングやアセットマネジメントのロビー団体は中央銀行の総裁と財務相を招待し不満をぶつけた。
2015年1月のマイナス金利政策の導入以降、スイス国立銀行(中央銀行)は現金を金庫に眠らせる国内銀行に30億フラン(約3400億円)以上を課してきた。
超法規的な政策金利はこの数年、伝統的な投資に対し大きな損害を与えてきた。銀行や保険会社、資産管理会社や年金基金などが保有する国債がその代表だ。
もっと読む マイナス金利政策への苛立ちは頂点に
おすすめの記事
広がらぬ金利差、広がる副作用
このコンテンツが公開されたのは、
「マイナス金利政策はこれまで、我々が狙った通りの効果をみせている」。昨年12月の政策決定会合後の記者会見で、トーマス・ジョルダン総裁はこう強調した。 スイス中銀はマイナス金利導入の狙いを「スイスフランの魅力を減らす」…
もっと読む 広がらぬ金利差、広がる副作用
おすすめの記事
利上げは「全く時期尚早」 スイス中銀総裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行)のトーマス・ジョルダン総裁は、フラン相場のイタリア選挙後の高騰や世界的な貿易戦争の脅威を背景に、政策金利の引き上げを検討するのは早すぎるとみている。
もっと読む 利上げは「全く時期尚早」 スイス中銀総裁
おすすめの記事
スイス、移民の人数制限に関する政府案発表
このコンテンツが公開されたのは、
このイニチアチブの可決は、政府に大きな難題を投げかける結果になった。なぜなら、スイスは欧州連合(EU)との間で働く場所と居住地の自由化を定めた「第1次2者間協定」を結んでいるため、EU出身の外国人でスイスの企業と有効な…
もっと読む スイス、移民の人数制限に関する政府案発表
おすすめの記事
スイス政府、移民規制案の実施計画を発表
このコンテンツが公開されたのは、
右派の国民党が提出し、昨年2月9日に可決された移民規制案は、「スイスに滞在する外国人の上限を定め、国別に滞在許可を割り当てること」を憲法に盛り込むというもの。 シモネッタ・ソマルーガ連邦大統領兼司法警察相は11日の会…
もっと読む スイス政府、移民規制案の実施計画を発表
おすすめの記事
スイスの国籍取得手続き 一部の人には辛い経験?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス人と結婚した外国人に適用される簡易な国籍取得手続きは、スイス国籍を入手する早道だと考えられてきた。しかしこの手続きの一部で、スイス社会に溶け込んでいる度合いを評価されるステップでは、立ち入った質問をされることもある。また、地方自治体によって申請者への扱いにかなりの差がある。
もっと読む スイスの国籍取得手続き 一部の人には辛い経験?
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。