スイス下院の安全保障政策委員会は21日、ウクライナへの武器の再輸出を解禁する案を可決した。上院委員会も同様の案を可決済みで、今後両院の本会議が審議する。
このコンテンツが公開されたのは、
議会公報外部リンクによると、同委員会が可決した議会発議外部リンクは、一定の条件のもとで輸出から5年後に輸入国による第三国への再輸出を解禁する内容だ。賛成12票、反対10票、棄権3票だった。
伝統的に中立政策をとるスイスは、スイス製兵器が紛争地域で使用されるのを防ぐため、軍需品法は輸入国から第三国への再輸出も禁じる。輸入国は、スイスに無断で再輸出しないことを宣誓しなければならない。
議会発議は、①第三国が深刻な人権侵害を行っていない②戦争物資が民間人に対して使用される危険がない③第三国が国内外の武力紛争に巻き込まれていない――を条件に、連邦内閣が輸入国の要求に応じて宣誓を取り消すことができるとする。ただし③は、国連が安全保障理事会または総会の3分の2の賛成をもって国際法違反があると認めた武力攻撃に対する自衛については例外となる。
上院の安全保障政策委員会は今月3日に同じ内容の発議外部リンクを可決済み。各院の本会議でも可決されれば、軍需品法が改正され解禁が実現する。
スイスはスイス製弾薬のウクライナへの再輸出を却下したことでドイツやスペインから非難されている。先月開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でも批判を浴びた。先月実施された世論調査では、国民の55%が再輸出解禁に賛成している。
英語からの翻訳・加筆:ムートゥ朋子
おすすめの記事
「平和を求めるなら、戦争に備えよ」は正しい?
ウクライナへの兵器供与などの軍事支援は戦争を終わらせることにつながる?逆にロシアの攻撃がさらにエスカレートする危険は?
議論を表示する
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
おすすめの記事
「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。
もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
おすすめの記事
スイス、外来診療の新料金体系で合意 定額制を一部導入
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの医療機関団体は22日、外来患者向けの新料金体系を承認したと発表した。エリザベット・ボーム・シュナイダー内務相は積年の議論に決着がついたことを歓迎した。
もっと読む スイス、外来診療の新料金体系で合意 定額制を一部導入
おすすめの記事
スイス製武器の再輸出解禁案まとまる 主要政党の賛否まとまらず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)安全保障委員会は、スイス製武器の再輸出の解禁案をまとめた。武器の輸出から5年経過を条件に、ウクライナなど紛争中の第三国への再輸出を認める内容だ。ただ主要政党の間では賛否が割れている。
もっと読む スイス製武器の再輸出解禁案まとまる 主要政党の賛否まとまらず
おすすめの記事
スイスで「ニュース離れ」さらに深刻に メディア品質年鑑
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ大学公共・社会研究センターが毎年まとめる「スイスメディア品質年鑑」2024年度版で、スイスでニュースを平均以下の量しか消費しない人の割合は46%と、過去最高を更新したことがわかった。スイスメディア全体の質は引き続き「良好」と評価された。
もっと読む スイスで「ニュース離れ」さらに深刻に メディア品質年鑑
おすすめの記事
アイスホッケーのスイス代表、国旗の白十字使用認められず
このコンテンツが公開されたのは、
アイスホッケーのスイス代表チームは、ユニフォームにスイスの国旗である白十字の紋章を付けることができなくなった。スイスアイスホッケー連盟(SIHF)が連邦行政裁判所に提出した申請が遅すぎたのが原因だ。
もっと読む アイスホッケーのスイス代表、国旗の白十字使用認められず
おすすめの記事
スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は16日、ウクライナに侵攻するロシアへの追加制裁を発表した。ロシアの産業・軍事・技術に必要な製品の輸出規制が強化されるほか、政党、NGO団体、報道機関がロシア政府からの寄付を受け取ることが禁止される。
もっと読む スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
おすすめの記事
チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か
このコンテンツが公開されたのは、
高級ブランドが立ち並ぶチューリヒのバーンホフ通りにパン屋が開業し、大きな話題を呼んでいる。通りを象徴する百貨店の撤退や再開と合わせ、街の大きな転機になるとの指摘もある。
もっと読む チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か
続きを読む
おすすめの記事
スイス議会、兵器の再輸出容認の議論開始
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)の安全保障政策委員会が24日、スイス製兵器の再輸出の解禁を提案した。近く本会議で審議されるが、議会内でも再輸出容認派が広がっている。
もっと読む スイス議会、兵器の再輸出容認の議論開始
おすすめの記事
ウクライナ向け武器再輸出 スイスがスペインの申請を却下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス製軍需品のウクライナ再輸出を求めるスペイン政府からの要請を、スイス連邦政府が退けた。連邦経済省経済管轄局(SECO)が10日、スイスの通信社Keystone-SDAに明らかにした。
もっと読む ウクライナ向け武器再輸出 スイスがスペインの申請を却下
おすすめの記事
スイス外務省、軍需品輸出規制の緩和を提言
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦外務省は紛争地域への軍需品輸出の規制の緩和を提言する報告書をまとめた。ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガー日曜版が報じた。
もっと読む スイス外務省、軍需品輸出規制の緩和を提言
おすすめの記事
ウクライナ侵攻でもうかるスイスの軍需産業
このコンテンツが公開されたのは、
欧州各国から押し寄せる注文、株価の急騰、需要に追いつかない製造ライン――ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに世界で再軍備が進み、スイスの軍需産業に思わぬ利益をもたらしている。
もっと読む ウクライナ侵攻でもうかるスイスの軍需産業
おすすめの記事
スイス、ウクライナへの弾薬再輸出を拒否
このコンテンツが公開されたのは、
ゲパルト対空戦車(自走式対空砲)に使用されるスイス製弾薬をウクライナに再輸出したいというドイツの要求を、スイス連邦政府が拒否したことが分かった。
もっと読む スイス、ウクライナへの弾薬再輸出を拒否
おすすめの記事
スイスの武器輸出規制に抜け穴あり 監査事務所が指摘
このコンテンツが公開されたのは、
今年6月、武器輸出の規制緩和を打ち出した連邦政府に対し、スイス連邦監査事務所はこのほど、武器輸出業者が現行制度下の抜け穴を利用してすでに同じことをしていると指摘した。政府の緩和方針に今後、波風が立ちそうだ。
もっと読む スイスの武器輸出規制に抜け穴あり 監査事務所が指摘
おすすめの記事
紛争地域でスイス製武器の使用が明らかに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは戦争中の国への武器供給を法律で禁じているが、スイス製の武器がアフガニスタン、イエメンの紛争地域で使われていることがメディアの調査で明らかになった。
もっと読む 紛争地域でスイス製武器の使用が明らかに
おすすめの記事
スイス政府、武器輸出申請のほぼ全て承認 検証文書をメディアが独自入手
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府が武器輸出規制を緩和する方針を打ち出し、国内で議論を呼んでいる。そんな中、従来の輸出規制にいかに抜け穴が多く、また政府が輸出申請のほぼ100%を承認していることが、スイス公共放送(SRF)が独自に入手した連邦監査事務所(FAO)の報告書で明らかになった。
もっと読む スイス政府、武器輸出申請のほぼ全て承認 検証文書をメディアが独自入手
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。