スイスの大企業では、社内で最も年収の多い人は最も少ない人の平均143倍を得ていることが分かった。2013年に上場企業の経営者らに支払われる法外な報酬の抑制を目指すイニシアチブ(国民発議)が圧倒的多数で可決されたが、年収格差の縮小は進んでいない。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス最大の労働組合ウニア外部リンクが国内の大企業39社について、それぞれ2017年の年収が最も多かった人と最も低かった人の格差を調べた外部リンク。
大手銀行UBSの最高経営責任者(CEO)は、スイス最高額の年収1420万フラン(約15億6千万円)を稼いだ。同行は年収格差も最大で、273倍もの開きがあった。
ノバルティスやロシュ、ABBの経営層は、最も年収の低い従業員の200倍以上を得ている。
39社のCEOの年収は合計で1億7200万フランになる。各種手当ても含めれば1億フランを超える。16年に比べると格差はわずかに縮小しているものの、経営幹部の年収はなお高水準にある。
≫2013年の「高額報酬制度反対イニシアチブ」では何が問われたのか?
業界別にみると、大手製薬会社(213倍)、銀行・保険(195倍)で格差が大きかった。
食品大手のネスレやリンツ&シュプルングリも164倍と差が目立った。スーパーマーケットのミグロやコープでは20倍以下と小さかった。
ウニアは「経営者の給与を制限する2013年のイニシアチブは何の変化ももたらさなかった」と指摘する。調査企の収益は全体で24%減ったが、CEOの給与は3.4%しか下がらなかった。
39人の最高年収者のうち、女性は電力会社アルピックのCEOジャスミン・スタイリン氏だけだった。同氏の給与は約200万フランで、39人中29位だった。
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
おすすめの記事
「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。
もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
おすすめの記事
スイス、外来診療の新料金体系で合意 定額制を一部導入
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの医療機関団体は22日、外来患者向けの新料金体系を承認したと発表した。エリザベット・ボーム・シュナイダー内務相は積年の議論に決着がついたことを歓迎した。
もっと読む スイス、外来診療の新料金体系で合意 定額制を一部導入
おすすめの記事
スイス製武器の再輸出解禁案まとまる 主要政党の賛否まとまらず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)安全保障委員会は、スイス製武器の再輸出の解禁案をまとめた。武器の輸出から5年経過を条件に、ウクライナなど紛争中の第三国への再輸出を認める内容だ。ただ主要政党の間では賛否が割れている。
もっと読む スイス製武器の再輸出解禁案まとまる 主要政党の賛否まとまらず
おすすめの記事
スイスで「ニュース離れ」さらに深刻に メディア品質年鑑
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ大学公共・社会研究センターが毎年まとめる「スイスメディア品質年鑑」2024年度版で、スイスでニュースを平均以下の量しか消費しない人の割合は46%と、過去最高を更新したことがわかった。スイスメディア全体の質は引き続き「良好」と評価された。
もっと読む スイスで「ニュース離れ」さらに深刻に メディア品質年鑑
おすすめの記事
アイスホッケーのスイス代表、国旗の白十字使用認められず
このコンテンツが公開されたのは、
アイスホッケーのスイス代表チームは、ユニフォームにスイスの国旗である白十字の紋章を付けることができなくなった。スイスアイスホッケー連盟(SIHF)が連邦行政裁判所に提出した申請が遅すぎたのが原因だ。
もっと読む アイスホッケーのスイス代表、国旗の白十字使用認められず
おすすめの記事
スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は16日、ウクライナに侵攻するロシアへの追加制裁を発表した。ロシアの産業・軍事・技術に必要な製品の輸出規制が強化されるほか、政党、NGO団体、報道機関がロシア政府からの寄付を受け取ることが禁止される。
もっと読む スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
おすすめの記事
チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か
このコンテンツが公開されたのは、
高級ブランドが立ち並ぶチューリヒのバーンホフ通りにパン屋が開業し、大きな話題を呼んでいる。通りを象徴する百貨店の撤退や再開と合わせ、街の大きな転機になるとの指摘もある。
もっと読む チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か
おすすめの記事
世界の年金制度ランキング、スイスは12位 首位はオランダ
このコンテンツが公開されたのは、
コンサルタント会社マーサーが14日公表した世界年金制度ランキング(2024年度)で、オランダが世界一の年金制度の評価を得た。スイスは12位にランクインした。
もっと読む 世界の年金制度ランキング、スイスは12位 首位はオランダ
続きを読む
おすすめの記事
スイス大企業の役員報酬、6.3億円
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大企業の役員報酬が大きく減少している。2017年の大手20社の中央値は3割近く下がり、金融危機直後の2009年以来の低水準になった。
もっと読む スイス大企業の役員報酬、6.3億円
おすすめの記事
スイスの平均年収、製薬が銀行抜きトップに
このコンテンツが公開されたのは、
スイス製薬業界の2016年の平均年収は28万フラン(約3200万円)と、銀行業の年収(22万フラン)を抜きトップとなった。
もっと読む スイスの平均年収、製薬が銀行抜きトップに
おすすめの記事
スイス国民の大多数、法外な高額報酬に「ノー」
このコンテンツが公開されたのは、
高額報酬に大多数が反対 今回の投票で最も注目を浴びたのが、「高額報酬制度反対イニシアチブ」だ。この国民発議は、株主の権利を強化することで、上場企業の経営責任者らに支払われる法外な報酬の抑制を狙ったもの。トマス・ミンダー…
もっと読む スイス国民の大多数、法外な高額報酬に「ノー」
おすすめの記事
減少続くスイスの銀行数 17年は9行が撤退
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは2017年、外国銀行の支店を含め9行が国内から姿を消した。20年前には400行以上を誇っていたが、今や残るのは253行だ。
もっと読む 減少続くスイスの銀行数 17年は9行が撤退
おすすめの記事
2016年、スイスの平均月給は71万円
このコンテンツが公開されたのは、
統計局が14日に発表した報告書外部リンクによると、最低所得層1割の平均収入は月4313フラン(約47万円)。最高所得層1割の平均は月11406フラン(約125万円)だった。 賃金格差 調査によると、2008年から20…
もっと読む 2016年、スイスの平均月給は71万円
おすすめの記事
昇進するにつれて拡大する男女間の賃金格差
このコンテンツが公開されたのは、
男女間の賃金格差は業種によって著しく異なっている。不平等は改善される傾向にあるとは言っても、格差は大きいままだ。3月8日の国際女性デーにあたり、賃金格差に注目した。
もっと読む 昇進するにつれて拡大する男女間の賃金格差
おすすめの記事
外国人派遣労働者 目指すはスイスでの高収入
このコンテンツが公開されたのは、
ベルン州の小さな町、クライリゲン(Kräiligen)。外壁が黒いビニールで覆われている家が1軒ある。「梱包」で有名な芸術家の作品というわけではない。南ドイツからやって来た大工のディーチェさん、シュヴェマーさん、ポーラ…
もっと読む 外国人派遣労働者 目指すはスイスでの高収入
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。