世界知的所有権機関(WIPO)は21日、昨年の国際特許出願件数の統計を公表した。国別ではスイスが8位、日本は前年よりランクを一つ落として3位だった。デザインなどを対象にした意匠登録では、スイスは2位だった。
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WIPOによると、スイスの国際特許出願件数は4491件(前年比2.8%増)で、前年より順位を一つ上げた。1位は米国で5万6624件、中国が前年比13.4%増の4万8882件で日本を抜き2位。3位の日本は前年比6.6%増の4万8208件だった。全体の出願件数は24万3500件で、前年比4.5%増。日本と中国の躍進が件数を押し上げた。
出願者別では、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、4024件)、中興通訊(ZTE、2965件)が1、2番手を独占。米インテル(2637件)、日本の三菱電機(2521件)、米半導体大手クアルコム(2163件)が続いた。WIPOは、現在の状況が続けば中国が3年以内に米国を抜いて世界最大手の出願国に躍り出ると予測する。
スイスの企業では重工業大手ABBが328件、ローザンヌに統括本部がある米たばこ大手フィリップモリス・インターナショナルが268件。スイスは医療技術部門の出願が最も多く、梱包、輸送、電気機器などの部門も目立った。
WIPOのフランシス・ガリ事務局長は21日、ジュネーブで開かれた記者会見で、スイスの功績を「人口や国のの規模が小さいのに反して極めて重要である」と述べた。
商標の国際登録出願件数は前年比5%増の5万6200件。国別では米国が7884件で最も多く、スイスは6.6%増の3272件で6位。出願者別ではバーゼル拠点の製薬大手ノバルティスが96件で4番目に多かった。
意匠の国際登録出願件数は前年比3.8%増の1万9429件。国別ではドイツが最多の4261件、次いでスイスの2935件。スウォッチ・グループは前年に比べ98件少ない285件で、出願者別で9位だった。
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スイスは特許出願の世界王者だ。2016年にヨーロッパ特許庁が受理した特許出願件数は、スイスが人口比で最多だった。スイス人はそんなに発明家が多いのか。
砂利の分別機、湿度を活用した気象計、特別な電動タイプライター。これらは100年以上も前にスイスで特許出願された製品の一例だ。しかも、審査にあたったのは、かの有名なドイツ人物理学者アルベルト・アインシュタインだったかもしれない。アインシュタインは1902年から09年まで、スイスの首都ベルンにある特許庁で働いていた。アインシュタインは当時の職場を「まるでこの世の修道院。おかげで最高のアイデアがここから生まれた」と皮肉っている。
当時は、ドイツの製品をスイスの製薬産業が模倣したとして始まった両国間の経済紛争が終結したころ。スイス特許・商標弁理士会のルイ・ラグナ―会長は「1888年の特許法施行まで、スイスは模倣大国として知られていた。この国の経済成長は模倣産業が支えていた」と指摘する。
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スイスではモルモットの単独飼育は法律違反である。少なくとも2匹以上で飼わなくてはならない。ジェームズ・ボンドの母親はスイス出身。スイス人女性の平均初産年齢は高めで、30歳ちょっと過ぎ。アインシュタインは相対性理論を公表した当時、ベルンの特許局に勤めていた。その他、スイス人女性に国政レベルの参政権が与えられたのは1971年だった…などなど。こういったことを全て知っている人がいたら、その人はスイスに関して立派なエキスパートだと言える。
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チューリヒ北部のヴィンタートゥールにあるビールメーカー「ドッペルロイ」。見方によっては、この中小企業にはイノベーション力がないと言える。ドッペルロイは特許を申請することもなく、研究開発に多額の予算を投じているわけでもないからだ。
しかし同社は創業から4年で生産能力を20倍に拡大。スイスで成功の見込みのあるニッチ市場を見つけ、人気のクラフトビールへの需要を一気に伸ばした。ドッペルロイの製品は幅広く、ペールエールからスタウトやウィスキー入りのビールまであり、一方変わったものを求めていたラガービール好きの人たちに受けた。
同社が生み出したイノベーションは、スイスドイツ語で「首切り」という意味のビール「コプフアプ(Chopfab)」のマーケティングの中だ。
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