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集約畜産の禁止は否決 女性の定年引き上げは僅差で可決

農場の豚
Keystone / Ennio Leanza

スイスでは25日、集約畜産の禁止や年金改革、大企業減税案をめぐり国民投票が実施された。集約畜産の禁止案は大差で否決された。

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家畜を密集・大量飼育する「集約畜産」の禁止案は、種差別反対団体や動物愛護団体が提起したイニシアチブ(国民発議)だ。現行の基準では動物の福祉を保証できないと訴えた。

スイス政府は、家畜・家禽の生活空間に関しては現行法で十分に規制されており、集約畜産も禁じていると反論。右派・中道政党は、スイスの動物保護法は世界で最も厳しいものの1つだと主張し、イニシアチブを否決するようキャンペーン活動を推進した。

スイスの農業のあり方を問う最近の国民投票はいずれも否決され、今回もそれに続いた。イニシアチブが可決されるには①有権者全体②州票の2つでともに賛成票が過半数を占めることが必要だ。23票(スイスには計26州あるが、6つの準州は0.5票ずつ)中22.5票が反対を示した。有権者全体でも62.9%が反対票を投じた。

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年金改革~30年来の重要課題

政府・議会の最重要テーマである老齢・遺族年金(AHV/AVS。日本の国民年金に相当)の改革案も投票にかけられる。スイス年金制度の第1の柱である老齢・遺族年金を巡っては、1995年以来全ての改革がとん挫してきた。

「年金改革21」と呼ばれる改革案は、①女性の定年を現行の64歳から男性と同じ65歳に引き上げ②付加価値税を引き上げの2本立て。①は賛成50.6%、②は賛成55.1%でともに可決された。

2つの措置で今後10年の年金財政が安定すると政府は主張してきた。年金財政は高齢化や団塊世代の一斉退職により圧迫されている。退職者の数は増え続ける一方、年金保険料を納める現役世代の割合は減り続けている。連邦社会保健局の試算によると、何も改革を施さなければ老齢・遺族年金の財源は2029年から赤字化する。

政府の改革案に対して異議を唱えるレファレンダム(国民表決)を提起した左翼政党と労働組合は、既に受給額が大幅に少ない女性を「犠牲にして」いるとして定年引き上げに反対。また今の労働市場では高齢者を雇いにくく、定年引き上げによって失業者や生活保護受給者が増えると批判した。

一方、中道・右派政党や経済界は、年金の給付水準を保証するためには必要な改革だとして賛成を訴えた。

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源泉徴収税の廃止

主に大企業の減税策となる2つの源泉徴収税の廃止案は、左派がレファレンダムを提起したため国民投票にかけられることになった。結果は反対52%、賛成48%で否決された。​​​​​

政府・議会が策定した同案は、証券の売買にかかる売上税と、社債にかかる源泉徴収税の廃止を盛り込んだ。右派・中道政党や経済界は、改革によって企業が資金調達しやすくなり、節約したお金を投資に回せるとして可決を訴えた。

一方、左派政党や労働組合は、改革は多国籍企業にしか恩恵を与えないと批判。スイス経済全体に利益をもたらすことはなく、市民が他の増税により代償を払わされると主張した。

独語からの翻訳:ムートゥ朋子

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担当: Isabelle Bannerman

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