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スイス諜報機関、ロシアのサイバー攻撃を懸念

サーバー
Keystone / Matthias Balk

スイス連邦情報機関(NDB/SRC)はロシアが西側諸国の民主主義を脅かすためにスイスのサーバーを悪用することへの警戒を強めている。大衆紙ブリック日曜版が報じた。

同紙が入手したNDB/SRCの内部文書によると、来年のスイス総選挙を狙った直接攻撃の可能性は低いが、「他の西側諸国の選挙への攻撃にスイス拠点のサーバーを使うことはありえる」とみている。

ロシアによる西側諸国の選挙への介入は長年懸念されているが、ウクライナ侵攻後も弱まることはないと指摘。「そのために、(ロシア政府は)偽情報やサイバー攻撃、個人やグループ、機関を操作し、さらに新しい戦略を組み合わせて駆使するだろう」と警告した。

こうした戦略が必ずしも選挙結果に直接の影響を与えるとは限らないが、「民主的プロセスを一部非合法化することで、『西側』の自由民主主義モデル全体を非合法化しうる」と懸念を示した。

こうした活動にスイスのサーバーを利用することは、スイスの主権を損なうことになるとも明記した。

スイスが標的に

ブリック紙外部リンクは、そうした作戦で狙われるのはスイスに限らないが、他の欧州諸国と異なりスイスはロシア外交官を追放していないことを踏まえると、ロシアがスイスでの活動を増やす可能性があると指摘した。

NDB/SRCは記事に対して特段コメントしていない。ただ広報は同紙に対し「スイスは欧州の国として、また西側社会の一員として、ロシアのナラティブ(物語)を喧伝する反西側運動の標的になっている」と述べた。

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