ドイツ語圏の日曜紙ゾンタ―クス・ツァイトゥング外部リンクが、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)幹部の職権乱用疑惑を報じた。その中心となったのがピエール・クレヘンビュール事務局長の不適切な女性関係で、既婚者である同氏は愛人の女性のために特別顧問のポストを作って採用し、給与などは公費から賄われていたという。
このコンテンツが公開されたのは、
同紙は、UNRWA倫理委員会の機密報告書を独自に入手。この報告書に、同組織の複数の幹部が職権を乱用し、縁故採用や差別、性的な不法行為などをしていたと書かれていたという。その最たるものがクレヘンビュール氏と同僚の女性職員との不倫疑惑だった。報告書ではこの不適切な関係が「職場環境に害を与えた」とした。
クレヘンビュール氏は2015年、自分の愛人のために「特別顧問」のポストを作って採用。このポストは2015年3月から2018年12月まで、スイス連邦外務省の公費で賄われていた。同紙は外務省もこの事実を認めたとしている。ただ同省は、給与額のほか、出張費が公費で賄われていたのかどうかは明らかにしなかったという。
倫理委員会の報告書によれば、クレヘンビュール氏の不適切な女性関係については、UNRWAの内外の多くの人々が知っていた。同氏は自分のオフィスよりもこの女性のオフィスで過ごす時間が長く、管理職のほとんどがエコノミークラスを使っているのに、この2人は頻繁にビジネスクラスを使っていたという。
国連がこの疑惑を現在調査中。クレヘンビュール氏はスイス人で、2014年からUNRWAの事務局長を務める。
この疑惑が発覚したことを受け、スイスはUNRWAへの年間2230万フラン(24億5300万円)の財政拠出を一時的に凍結した。オランダも同様の措置を取った。
UNRWAは最大の資金拠出国の米国が昨年、支援を中止し、一時的に財政危機に陥った経緯がある。
スイスのイグナツィオ・カシス外相も、UNRWAの役割を公に批判した。
UNRWAはシリア、レバノン、ヨルダン、ガザ地区、ヨルダン川西岸地区の500万人以上のパレスチナ難民を支援する組織で、12億ドルの年間予算を持つ。
おすすめの記事
スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は16日、ウクライナに侵攻するロシアへの追加制裁を発表した。ロシアの産業・軍事・技術に必要な製品の輸出規制が強化されるほか、政党、NGO団体、報道機関がロシア政府からの寄付を受け取ることが禁止される。
もっと読む スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
おすすめの記事
チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か
このコンテンツが公開されたのは、
高級ブランドが立ち並ぶチューリヒのバーンホフ通りにパン屋が開業し、大きな話題を呼んでいる。通りを象徴する百貨店の撤退や再開と合わせ、街の大きな転機になるとの指摘もある。
もっと読む チューリヒの一等地にパン屋開業 高級街に転機か
おすすめの記事
世界の年金制度ランキング、スイスは12位 首位はオランダ
このコンテンツが公開されたのは、
コンサルタント会社マーサーが14日公表した世界年金制度ランキング(2024年度)で、オランダが世界一の年金制度の評価を得た。スイスは12位にランクインした。
もっと読む 世界の年金制度ランキング、スイスは12位 首位はオランダ
おすすめの記事
チューリヒ映画祭、最優秀賞にルンガーノ・ニョニ監督 伊藤詩織監督作品は2部門受賞
このコンテンツが公開されたのは、
第20回チューリヒ映画祭(ZFF)が10月3日~13日開かれ、ルンガーノ・ニョニ監督のコメディ映画「On Becoming a Guinea Fowl」が最優秀作品賞を受賞した。2位には伊藤詩織さんが監督したドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」が選ばれた。
もっと読む チューリヒ映画祭、最優秀賞にルンガーノ・ニョニ監督 伊藤詩織監督作品は2部門受賞
おすすめの記事
世界大学ランキング 連邦工科大学チューリヒ校は欧州1位
このコンテンツが公開されたのは、
英教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が9日発表した世界大学ランキング(25年度)で、スイス連邦工科大学チューリッヒ校が前回に続き11位にランクインし、欧州内では1位の評価を獲得した。
もっと読む 世界大学ランキング 連邦工科大学チューリヒ校は欧州1位
おすすめの記事
スイスでチーズ品評会 最優秀賞決まる
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州ルガーノで開かれたチーズ品評会「スイスチーズ・アワード」で4日、1100品を超えるチーズの中から、最も優れた3品が選ばれた。
もっと読む スイスでチーズ品評会 最優秀賞決まる
おすすめの記事
チューリヒ、男がナイフで園児襲撃 命に別状なし
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ市北部で1日、路上を歩いていた園児の集団に男が刃物で切りつけ、子ども3人が負傷した。チューリヒ市警察は中国人留学生の男(23)を逮捕した。
もっと読む チューリヒ、男がナイフで園児襲撃 命に別状なし
おすすめの記事
氷河の融解でスイスとイタリアの国境に変化
このコンテンツが公開されたのは、
スイスはイタリアとフランスとの国境を変更した。イタリアとの国境は氷河の融解、フランスとの国境はジュネーブ地方の新しい路面電車と河川にそれぞれ関連している。
もっと読む 氷河の融解でスイスとイタリアの国境に変化
おすすめの記事
スイス中央銀行、0.25%の利下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は26日、政策金利を0.25%引き下げ、1%にすると発表した。
もっと読む スイス中央銀行、0.25%の利下げ
おすすめの記事
チューリヒ市の有権者、CO2回収プロジェクトを支持
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ市の有権者は22日の住民投票で、市内の下水処理場における革新的なCO2回収プロジェクトを承認した。
もっと読む チューリヒ市の有権者、CO2回収プロジェクトを支持
続きを読む
おすすめの記事
国連パレスチナ機関のスキャンダル なぜ今明るみに?
このコンテンツが公開されたのは、
組織に損害を与える内部報告書は、国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)のトップ役員の倫理的行動にとても暗い影を投げかけた。そしてそのタイミングは、イスラエル・パレスチナ関係の将来に関する政治的課題も浮き彫りにした。
もっと読む 国連パレスチナ機関のスキャンダル なぜ今明るみに?
おすすめの記事
イスラエル軍事侵攻でスイス援助活動に支障
このコンテンツが公開されたのは、
ローズマリー・シェリング・スイス開発協力局東エルサレム所長によると、西岸で活動中の援助職員らは、イスラエル軍制圧下のパレスチナ人支援活動を続けようにも外出すらできなくなっている。シェリング所長は、イスラエル政府による戒厳…
もっと読む イスラエル軍事侵攻でスイス援助活動に支障
おすすめの記事
スイス 対イスラエル関係見直し
このコンテンツが公開されたのは、
「中東情勢からスイスが受ける影響を対イスラエル関係の視点から検討すると、最も影響を受けるのは軍事と経済関係だろう。イスラエルとは非常に友好的な関係を保ってきた。が、シャロン首相が中東情勢を戦争と表現する今、スイスは今後の…
もっと読む スイス 対イスラエル関係見直し
おすすめの記事
UNRWA批判のカシス外相、自身の発言を擁護
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのイグナツィオ・カシス外相が「国連難民救済事業期間(UNRWA)が中東和平の妨げになっている」と発言し、国内外から批判を浴びている問題で、カシス外相は30日、フランス語圏のスイス公共放送(RTS)に「自分の発言がスイス国内に健全な議論をもたらした」と延べ、発言に問題はないとの認識を示した。
もっと読む UNRWA批判のカシス外相、自身の発言を擁護
おすすめの記事
米国により財政難になったパレスチナ難民救済事業にスイスが資金支援
このコンテンツが公開されたのは、
昨年の米国の支援凍結により国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が資金不足に陥ったことを受け、スイスは2019年早期に更なる資金を支援する方針を掲げた。それに対し同機関の事務局長ピエール・クレヘンビュール氏は29日、スイスの資金支援に感謝を表明した。
もっと読む 米国により財政難になったパレスチナ難民救済事業にスイスが資金支援
おすすめの記事
スイスの外相、国連難民救済事業機関を批判
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのイグナツィオ・カシス外相が「国連難民救済事業機関(UNRWA)が中東和平の妨げになっている」と発言し、波紋を広げている。UNRWAを名指ししたこの発言を受け、アラン・ベルセ連邦大統領が火消しに走る事態に陥っている。
もっと読む スイスの外相、国連難民救済事業機関を批判
おすすめの記事
国際機関を徐々に弱体化させるトランプ政権
このコンテンツが公開されたのは、
ドナルド・トランプ氏が米大統領に就任した昨年1月、ジュネーブの国連や各種国際機関の関係者たちはこれから訪れるであろう激動の時代を予感した。
もっと読む 国際機関を徐々に弱体化させるトランプ政権
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。