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COP25の結果にスイス失望

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15日に閉幕したCOP25。スイスは大きく失望したという Paula Dobias-Dupraz

第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議が15日、閉幕した。過去最長の会期の結果、カーボンマーケット(炭素市場)への対応策は来年会合に先送りされ、スイスの交渉担当者は失望していると語った。

深夜も行われた議論は40時間超にわたったが、炭素排出に価格を付けCO2削減を促すカーボンマーケットが抱える厳しい問題は解決できなかった。パリ協定外部リンク第6条では、他国の温室効果ガス削減技術などの普及・対策を通じて実現した貢献を定量的に評価し、自国の削減目標の達成に活用できると定める(削減目標、NDCと呼ばれる)。しかし、公正で説明責任のある炭素市場をどう設立すべきかについては、来年英国グラスゴーで開催されるCOP26に先送りされた。スイス連邦環境省は、ツイッターで失望を表明した。

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スイスは28カ国とともに、炭素市場に関するパリ協定実施に向け、排出削減が重複カウントされないなど、炭素市場の「清廉さ」に焦点を置く「サンホゼ原則」外部リンクを採択した。ただほとんどの欧州諸国は、まだ不確かな国際炭素市場の規則を採用するよりも、最終決定をしない選択を取った。

その代わり、約200カ国が、国際炭素市場について規則のない「最小限の合意」を得ることを選んだ。

スイスの取り組み

シモネッタ・ソマルーガ環境相は、ドイツ語圏の日曜紙ゾンタ―クス・ブリックのインタビューで、来年の連邦大統領就任に際し、再生可能エネルギーに注力していくと述べた。クリーンな電力への投資が他国への依存を減らし、雇用創出につながると指摘した。

ソマルーガ氏は、農村部に注目しているとコメント。農家の屋根は大きく、大量の太陽光発電システムを搭載できる余地があるという。

そのほかにも首都ベルンで、実業家・慈善家のハンスヨルク・ヴィース氏が、1億フラン(約110億円)を投じて自身の名を冠した環境研究所を設立する計画も進む。ヴィース自然研究所外部リンクはベルン大学と提携し、10年間で大学と州から計1億フランのマッチングファンド外部リンクを受け取る。研究所は2020年設立、2022年に正式に稼働する。観光、資源利用、自然災害、エネルギー、農業、生物多様性の各分野にわたるプロジェクトが予定されている。

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