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15日の国民投票 ネットフリックス法など全て可決

映画セット
© Keystone / Michael Buholzer

スイスで15日、国民投票が行われた。ネットフリックスなどの動画配信サービスに新たな規制をかける法改正案など3件全てが可決された。

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スイスの映画文化・映画制作法改正案(通称「ネットフリックス法」)は、ネットフリックスなどのオンライン動画配信サービスに対し、国内で得た収益の4%をスイスの映画・シリーズ制作に出資することを義務付けるもの。

連邦政府は、法改正で国内映画産業に年間1800万フラン(約2300億円)の追加資金が流入すると見込む。欧州のほぼ半数の国が既に同様のルールを義務化しており、ポルトガルでは1%、フランスでは26%となっている。

また動画配信サービスは、配信コンテンツの少なくとも3割をスイスか欧州で制作されたものに充てることが義務づけられる。これは欧州連合(EU)で既に適用されているルールだ。

右派政党青年部などでつくるレファレンダム委員会は、スイスの映像・音響制作業界は既に十分な補助金を受けており、民間企業からの追加支援は必要ないと主張。動画配信プラットフォームに対する出資義務は経済的自由の侵害にあたり、月額料金の値上げにもつながりかねないと訴えていた。

一方、改正法案の賛成派は、法改正がスイス映画産業の国外進出の足掛かりになると期待。また、既に同様の出資義務を課されている全国・地方放送局との公平化も図れると訴えていた。

最終投票結果は賛成が58.4%。

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推定的同意か明示的同意か

国民投票では、臓器移植法改正の是非も問われた。厳密には、臓器移植イニシアチブ(国民発議)に対して連邦内閣が出した間接的対案だ。争点はその同意方式で、スイスではこれまで、生前に明白な同意がない限り死後の臓器提供を認めない「明示的同意」の原則が採用されていた。これを、生前に拒否する意思を明示した人以外全員を潜在的ドナーとみなす「推定的同意」方式に変える。

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政府案がイニシアチブと異なるのは、死亡者の親族が意思決定に関わることができるようにした点だ。国民投票ではこの政府案に対し、超党派の委員会がレファレンダムを提起した。反対派は、沈黙を同意と解釈すべきではないと主張。推定的同意方式は、拒否する機会を逸した人からの臓器摘出につながりかねないと訴えていた。

賛成派は、臓器提供率を高めるためには法改正が不可欠という立場だ。スイスの臓器提供率は他の欧州諸国よりも低い。同意方式を変えることで、遺族が故人の意思を尊重した判断ができるというメリットも生まれるという。

最終投票結果は賛成が60.2%。アラン・ベルセ内相は15日夕の記者会見で「臓器移植を待つ全ての人にとって吉報だ」と歓迎した。

Frontex支持、スイス経済・観光に吉

欧州対外国境管理協力機関フロンテックス(Frontex)への負担金を増やす法改正案も国民投票にかけられた。

同機関は移民を危険にさらし、「プッシュバック」と呼ばれる難民申請希望者の強制送還に関与していた疑いで、複数の事件捜査の対象になっている。今年4月末には局長が辞意を表明する事態に発展した。

これを受け、同機関の体制拡大に対しスイスがこれまで通り資金拠出を行うべきか否かが大きな議論になった。

2015年の移民危機後、EUはFrontexの増員・資金強化を決定。同機関の総予算の引き上げに伴い、スイスの拠出額は年間2400万フランから最大6100万フランに増える。

これに対し、移民連帯ネットワーク連合を始めとする複数の団体がレファレンダムを提起。左派政党などの支持を取り付けた。レファレンダム委員会は、Frontex職員らが孤立と暴力に基づく移民政策をしていると非難。重大な虐待や人権侵害で批判を受ける同機関にさらに資金を拠出することは許されないと訴えていた。

賛成派は、Frontexへの負担金引上げに応じることは、国内だけでなくEUの対外国境の安全を向上させ、移民の基本的権利を尊重するための解決策にもなりうると主張。国民投票で否決された場合、スイスがシェンゲン圏から排除される可能性があると訴えていた。

最終投票結果は賛成が71.5%。

経済団体エコノミー・スイスのモニカ・リュール会長は独語圏のスイス公共放送(SRF)に「Frontexへの賛成はシェンゲン協定への賛成を意味する。スイス経済、特にスイス観光にとって重要なものだ」と歓迎した。

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投票率は39.5%と振るわなかった。

(独語からの翻訳編集・宇田薫)

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