スイスで近年、銃の撃ち方を学ぶ講習を受講する若者が増加している。
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独語圏の日刊紙アールガウアー・ツァイトゥング日曜版が、スポーツ射撃団体スイスシューティング外部リンクの数字として、「Jungschützen(ジュニア射撃)」と呼ばれる若者向けコースの受講者が2015年の7千人から昨年は1万0079人に増加したと報じた。同コースの対象年齢は15~20歳で、兵役の準備講習として設置された。国民皆兵制をとるスイスでは成人男性に兵役が義務付けられている。女性は志願制。
連邦政府はこうした施策を支援しており、昨年は軍用アサルトライフル1万585丁、弾丸93万発を射撃団体に支給。連邦国防省も若者向けの講習に86万2千フラン(約9900万円)、さらに上級者向けコースには6万5千フランを助成している。
若者の受講者が増えたのは、16年の法改正で兵役準備講習の参加可能年齢が17歳から15歳に引き下げられたためとみられる。
国内では一部の射撃団体が8~10歳の子供向けコースを開いている。始めは空気銃で10メートルの距離を撃つ練習をし、距離が300メートルに伸びた時点で軍用アサルトライフルの使用が許可される。
スイスの銃規制関連法、および銃の所有率の高さは、護身用の武器を所持する権利や国民皆兵の意識が深く根付くこの国の現状をよく表している。射撃クラブも人気で、スイスシューティングは13万3千人の会員を持つ国内でも最大級のスポーツ団体だ。
人口約830万人のスイスは今日、一人当たりでみた銃の所有率が欧米諸国で最も高い国の一つで、約200万丁が流通しているとされる。
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欧州議会は今月14日、銃規制案を可決した。スイスは欧州連合(EU)に加盟していないが、シェンゲン協定加盟国としてこの新規制を適用する必要がある。これに対して、スイスの銃器所持擁護のロビー団体が異議を唱えている。
欧州議会が可決した新規則は、武器登録の導入や半自動銃のカードリッジ(薬包)の上限を20発から10発に制限するなど、銃器の所持をより制限する内容となっている。
スイス国内で同規則を適用するには議会の承認が必要となる。スイススポーツ射撃協会(FST-SSV)は、議会がこれを承認した場合、レファレンダムを視野に入れていると話す。
同協会のドラ・アンドレス会長は「新銃規制はテロ攻撃を阻止することはできないし、スイスの現行法は武器の違法取引に十分対応している」と話す。さらに同氏は、「スイスは銃器の所持において、とりわけ猟師、射手、コレクターの間で長い歴史がある」と付け加えた。
右派・国民党のヴェルナー・ザルツマン議員も同じく、新規制の導入に異議を唱えている。
しかし、左派・社会民主党のシャンタル・ガラデ議員は、「射手も警察官も、従来どおり銃器を使用できる」とドイツ語圏のスイス公共ラジオに対して話した。
スイス、適用外となるか?
シモネッタ・ソマルガ司法警察相は昨年3月、EUが計画する銃規制は、軍隊で使う武器を家庭で保管するという、スイスの伝統には影響しないだろうと話していた。
スイスでは1割以上の徴集兵が公務を終えた後、軍隊で使用した銃器を家庭に持ち帰っている。そのため、EUの半自動銃に関する規制案は当時から、スイスで大きな議論を引き起こしていた。
今回の新規制の導入に対する反対派は、銃登録データの統括を求める案件が2011年の国民投票で否決されたことを反対理由の一つに挙げている。
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昨年のスイスの小型武器輸出先、仏と米が最多
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連邦経済省経済管轄局(SECO)は21日、スイスが2016年、拳銃などの小型武器を輸出した最大の相手国はフランス、次いで米国だったとの統計結果を発表した。輸出総量は減少したものの、輸出相手国は70カ国に上る。
小型武器はSALWと呼ばれ、一人で携帯や使用が可能な拳銃などの「小火器(Small Arms)」と、数人で運搬や使用が可能な重機関銃などの「軽兵器(Light Weapons)」、弾薬及び爆発物の3種類があるとされる。昨年は、国際安全保障上の理由で国から輸出許可が出ないケースが増えたにも関わらず、輸出量は前年比28%増だった。
フランスへの輸出額は450万フランで、その大半がグレネードランチャー。輸出総数は約5千超で、うち3626の武器がフランスの警察当局へと輸出された。警察関係への輸出に占めるフランスの割合は前年に比べ2割超の伸び。
米国は430万フランで主に回転式拳銃、自動装てん式拳銃など。他には機関銃、カービン銃となった。その他の主要輸出先はスロバキアとドイツだった。
昨年、連邦政府が出したSALWの輸出許可件数では、申請者の6割が武器の販売業者だった。警察は26%、軍は4.6%、市民は3.2%だった。前年は業者が79%、警察当局はわずか4.3%だった。
SECOがまとめた昨年の武器
輸出統計によると、輸出総額は4億1190万フラン(約462億円)で、前年比7.8%減少。06年以来で最小値だった。
輸出先の半数超を欧州諸国が占め、4分の1がアジア、米国は11.2%だった。アフリカ諸国は前年比207%の伸び。南アフリカ共和国への輸出が5130万フランに上ったのが理由で、輸出額では2番目に多い。
輸出先の上位5カ国には、政治的な対立が続くインド、パキスタンが入る。インドはミサイル射撃指揮装置とミサイル誘導システムで3450万フラン、パキスタンは銃器で2550万フランだった。
輸出が認められなかったのは26件
昨年、輸出の許可が認められなかったケースは26件に上った。前年はゼロ。相手国はロシア、バーレーン、アラブ首長国連邦、サウジアラビアで、安全保障上の理由のほか、人権問題や国際的な経済制裁によるものもあった。
スイスは人権侵害に悪用される恐れがある国への武器輸出を禁じている。また、個別の事情に応じて国が可否を決める。
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国際オリンピック委員会(IOC)を創設し「近代オリンピックの父」と呼ばれたピエール・ド・クーベルタン氏は、近代五輪に平和と平等の願いを込めた。しかし、開幕式を間近に控えたリオはそんな理想とは程遠い、どんよりとしたムードが漂う。
原因は過去100年で最悪と言われる経済危機で、約2年半前からブラジル経済は急速に悪化。さらに伝染病の問題もある。ジカウイルス感染症(ジカ熱)、デング熱、チクングニア熱といった「三大伝染病」の被害がリオデジャネイロ州に拡大。頼みの綱の保健医療システムもほぼ破たんしている。
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